そのカルテ棚、新患を追うより確実な「経営の土台」かもしれません

そのカルテ棚、新患を追うより確実な「経営の土台」かもしれません

石井 武

石井 武

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― 整骨院・接骨院が見落としがちな「お久しぶりの患者様」の呼び戻し方 ―

カルテ棚を開けると、半年前まで毎週のように来ていた患者様の名前が並んでいます。
あの腰痛の常連さん、産後ケアで通っていたお母さん、回数券を使い切ったきり姿を見せなくなった方——。

「忙しくなったのかな」「もう他に移ってしまったのかな」。
そう思って、そのまま閉じていませんか。

新患を一人でも増やすために、チラシを配り、Web広告に予算を投資し、クーポンサイトに手数料を払う。その努力は間違いなく必要です。

ですが、同じくらいのエネルギーを「すでにあなたの施術を知っている患者様」に向けるだけで、実は何人も呼び戻せる可能性があります。

この記事では、眠っているカルテを「安定経営の土台」に変えるための、具体的で、明日から実践できる方法をお伝えします。

目次

1. 「来なくなった=嫌われた」ではないという事実

患者様の足が遠のくと、私たちはつい「施術に満足してもらえなかったのでは」と自分を責めてしまいがちです。

しかし、顧客が離れる理由を調べると、最も多いのは「特に理由はない」——つまり、忙しさや「症状が少し楽になったから」といった、ささいなきっかけです。施術への不満で去る人は、実は少数派なのです。

これは裏を返せば、こういうことです。

嫌われて来なくなったのではなく、ただ、思い出すきっかけがなかっただけ。

だからこそ、院側から「そういえば、あの院があったな」と思い出してもらう一言を届けるだけで、驚くほどスムーズに戻ってきてくれます。
ですから、連絡することに引け目を感じる必要はありません。

2. お久しぶりの患者様が「最大の資産」である理由

マーケティングには「新規顧客の獲得には、既存顧客の維持に比べて5倍のコストがかかる(1:5の法則)」という有名な原則があります。

新患は、あなたの院の場所もスタッフの顔も施術内容も知りません。ゼロから信頼を築く必要があります。

一方、一度でも来院された方はそのすべてを知っています。
だから、はるかに低いコストで戻ってきてくれる。投資対効果(ROI)がまるで違うのです。

新患を1人獲得するための広告費や労力を考えれば、すでに信頼関係のベースがあるお久しぶりの患者様にアプローチすることが、どれだけ手堅く、院にとって価値のあることかが見えてくるはずです。

カルテ棚に眠っているデータは、文字通り院の大切な「資産」なのです。

3. 眠れる患者様を呼び戻す3つのステップ

全員へ同じ内容の連絡を一斉に送っても、なかなか心には響きません。
次の3ステップで丁寧に進めます。

ステップ①|患者様を「分類」する

まずカルテや予約システムを使い、2つの軸で分けます。

  • 離反期間:3か月/半年/1年以上
  • 過去の関係の深さ:1回きりで離反/回数券を使い切って離反/何度もリピートしていた優良患者

最優先で連絡すべきは、「何度も通ってくれていたのに、ここ半年来院がない方」。
信頼の土台がすでにあるため、最も戻ってきてくれやすい層です。ここから着手すると、最短で成果が出ます。

ステップ②|届ける手段を選ぶ

手段向いている相手特徴
LINE公式アカウント友だち登録が残っている方開封率が高く、コストほぼゼロ
ハガキ・DMLINEが繋がらない層、ご高齢の方手書きの一筆で「特別感」が出せる

LINEは効率、ハガキは温度感。相手に合わせて使い分けるのがコツです。

ステップ③|再来院の「きっかけ(大義名分)」を用意する

ここが最も大切で、最も差がつくところです。
「最近いかがですか、ご予約お待ちしています」だけでは、人は動きません。
来院を正当化できる、ちょうどいい口実を差し出してあげましょう。

  • 季節の体調ケア
    「梅雨どきのだるさ・むくみに」「年末の大掃除で痛めやすい腰の予防に」
  • 新メニュー・新設備のご案内
    「新しく骨盤コンディショニングのメニューをご用意しました」
  • “お帰りなさい”のきっかけ
    「お久しぶりの方へ。次回ご来院時、姿勢チェックを無料で承ります」

「あなたのために、今これをお伝えしています」という文脈があるだけで、受け取り手の反応はまるで変わります。

4. 仕組みで掘り起こす ― LINEと予約システムの自動化

休眠患者を手作業でリストアップし、一人ひとり連絡する。これは続きません。スタッフの善意やマンパワーに頼った掘り起こしは、業務が忙しくなると必ず途中で止まります。だからこそ、仕組みに任せるのです。

  • LINEのターゲット配信
    「3か月以上ご来院のない方限定」といった絞り込み配信ができます。
    メッセージの先に24時間予約できるリッチメニューを置いておけば、「思い出した、その場で予約」までを途切れさせません。

  • 予約システムのステップ配信(自動フォロー)
    最後の施術から「30日後・60日後・90日後」に、フォローのメッセージを自動送信する設定が可能です。一度組んでしまえば、先生が施術に集中している間も、システムが黙々とフォローを続けてくれます。

「忘れていた患者様を、こちらも忘れてしまう」——この取りこぼしを、仕組みがカバーしてくれます。

5. 一通のメッセージが、信頼を壊すこともある

ここで、最大の落とし穴をお伝えします。

「売り込み」だと感じさせた瞬間、その患者様は二度と戻ってきません。

利益を急ぐあまり、割引や回数券の売り込みが前面に出ると、患者様は心理的な負担を感じてしまいます。同じ「久しぶりの連絡」でも、一言の差で結果は正反対になります。

信頼を削る一言
「【期間限定】今だけ回数券20%OFF!お得な今がチャンスです!」

信頼を育てる一言
「〇〇様、その後お身体の調子はいかがでしょうか。季節の変わり目は腰に負担がかかりやすい時期です。気になることがあれば、いつでもご相談くださいね。」
主役は「特典」ではなく「患者様のその後の体調」。施術計画の延長線上にある、プロとしての自然な気遣い——これが、長期的な信頼を取り戻す道です。

💡広告表現のご注意
患者様への案内文では、柔道整復師法・あはき法の広告規制にご留意ください。
「治る」「効果」などの断定的・誇大な表現は避け、「ケア」「予防」「コンディショニング」といった表現に置き換えるのが安全です。

さいごに ― 明日、まずカルテ棚を開けることから

お久しぶりの患者様は、院を支えてくれる大切な存在です。
適切なタイミングで、適切な手段で、患者様ファーストの一言を届ける。たったそれだけで、驚くほど自然に現場へ戻ってきてくれます。

新規集客に大きな予算を投じる前に、まずは院の最大の資産である「既存のカルテ」を見直してみませんか。

明日の朝、できることはひとつです。カルテ棚を開け、「半年通って、ここ半年来ていない方」を10人、書き出してみる。 その10人への一言が、安定経営への最初の一歩になります。

カルッテなら、その“一言”が「仕組み」になります

「さいごに」で書いた、カルテ棚を開けて10人を書き出す——この最初の一歩は、ぜひ明日、手を動かして始めてみてください。

ただ、その先を“続ける”となると、話は変わります。
何百人もの患者様を手作業で分類し、一人ひとりに連絡し、予約を取り、来院後もフォローする。これを施術の合間に回し続けるのは、現実には難しい。
だから多くの院で、掘り起こしは「いい話」のまま終わってしまいます。

電子カルテ&予約システム 「カルッテ」 は、この記事の3ステップを、そのまま日々の業務に組み込める形にしました。

  • ステップ①|分類する
    顧客管理で、タグや来院履歴をもとに「半年来ていない優良患者」を、条件を選ぶだけで絞り込み。カルテを1枚ずつめくる手間はいりません。
  • ステップ②|届ける
    LINE連携で、絞り込んだ患者様へまとめてご案内。来院後のお礼や次回のお声がけも、自動でお届けできます。
  • ステップ③|きっかけを渡す
    メッセージから24時間予約できる導線まで一本道。「行こうかな、と思ったその場ですぐ予約」を、取りこぼしません。

予約・問診・カルテ・決済までがひとつにまとまるから、戻ってきた患者様の対応もスムーズ。
スタッフは事務作業から解放され、目の前の患者様と向き合う時間を取り戻せます。

そしてカルッテが目指すのは、“売り込む仕組み”ではありません。
患者様を思い出し、患者様に思い出してもらう——5章でお伝えした「患者様ファーストの一言」を、無理なく続けられる仕組みです。

あなたの院のカルテに、どれだけの可能性が眠っているか。
まずは一度、一緒に見てみませんか。

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石井 武

著者

石井 武

株式会社クロスリンク 取締役 CTO。

埼玉県出身。二児の父。

WebメディアやBtoBシステム、ECサイトなど、Web業界で15年以上にわたり、プロダクト開発、マネジメントに従事。

2023年に株式会社クロスリンクに開発責任者として入社し、プロダクト開発をリード。